現役 保険営業マンの保険備忘録

保険の選び方や保険業界の裏側など、保険業界に関わって学んだことを備忘録的に書いています。

気をつけなければいけない営業マンの「Yes取り」トーク

営業の仕事をしたことがある方はわかると思いますが、営業の基本テクニックに「Yes取り」というものがあります。

これはお客様から「Yse」と言って頂ける質問を重ねることで、心理的ハードルを下げるという営業の古典的テクニックですが、当然そこにはお客様から「Yes」を引き出すためのトークというものがあります。

 

この「Yes」が取れるトークをうまく活用すると、営業マンが売りたい商品に対して「Yes」と答えてもらえる質問も作れます。

様々なパターンがありますが、今回は私がまだ保険の営業マンになる前に、お客として営業をかけられたときのことを例として取り上げていきます。

 

当時の私は30代前半で、たまたま職場の元先輩が退職後某保険会社の営業マンになって、営業をかけに来たという状況でした。

年齢的にも保険を意識し始めていたのですが、当時は医療保険しか検討していなかったので、医療保険の契約を意識して話を聞いていました。

もちろん当時の私はどういう商品を選べば良いのかの基準もなく、その元先輩営業マンは保険代理店ではなく保険会社の営業マンだったので、当然複数社の商品の比較をすることもありませんでした。

結局、契約したのは入院・手術の保障にガンや生活習慣病の入院保障特約やガン一時金特約などを付加した商品でした。

保障内容は決して悪くはなかったと思いますが、保険料が高く、30歳前半で終身保障・65歳払込で月払約10,000円でした。

今ならこんな高い医療保険に入ることはないのですが、当時は比較対象もなかったことからそれが高いかどうかすらわからなかったという感じです。

そして、なぜこの商品がそんなに高かったのか、その大きな要因は「解約返戻金」がある商品だったからです。

 

解約返戻金というのは、その契約を「解約したとき」に保険契約者に対して払い戻されるお金のことです。

個人的には医療保険については「掛け捨てで安く」が資金効率が良いと考えていますが、当時の私はそんな知識もなく、こんな「Yesが取れるトーク」にやられてしまったわけです。

 

「◯◯さん、この商品は65歳で払込が満了すると解約返戻金が立ち上がる商品なんですよ。年を重ねていって、もしもう保障は必要ないかなと思うことがあったときに『お金に変えられる保険と変えられない保険』だったらどっちがいいですか?」

 

ズルい質問の仕方ですよね。

これ、ほとんどの方が「お金に変えられる保険の方がいい」という返答になるんですよ。

だって、選択肢がないよりはあった方がいいわけですから。

ただし、それによってどれくらい保険料が上がるのかなどのデメリットについては話さないんですね。

 

実際、当時の私は「お金に変えられる選択肢があった方がいいんじゃないのか」と考えてこの商品を契約したわけですが、冷静になって考えてみると、そもそも「解約返戻金」というのは「解約しないと手に入らない」ものなわけですよね。

医療リスクが高まるのは60歳以降なわけで、正直医療保険のお世話になる可能性が増す時期にそもそも解約するのか?ということなんですよね。

もし解約しなければ、ただ高い保険料を払っただけですよね。

こういうデメリットの側面はあまり教えてくれないんですね。

なぜなら、保険料が高くなる=営業マンの手数料収入が増えるという仕組みなわけなので、お客様から突っ込まれない限り、敢えてデメリットを強調する必要はないわけです。

 

こういう一見するとよく見える商品というのは非常に多いです。

わかりやすいものだと、「5年ごとに健康祝金がもらえます!」というものですね。

こういうパターンの商品は結局健康祝金がない商品より保険料が高くなるので、結果的に自分が余計に払った保険料が5年ごとに返ってきているという仕組みになっているケースがほとんどです。(もちろん多少はプラスになるように設計されていると思いますが・・・)

 

こういう商品のカラクリを見抜くのに非常に役に立つのが「電卓」です。

掛けるお金に対して得られるお金がいくらなのかがわかれば、それが本当にお得なのか見抜くことができます。

数字は嘘をつきませんからね。

おいおい電卓の叩き方も記事にしていこうと思います。

確率の話

保険屋さんのトークで「〇〇になっちゃったら大変じゃない?」というものがあります。

例えば、「介護状態になったら大変じゃない?」とか、「万が一旦那さんがお亡くなりになったら大変じゃない?」とかいうやつですね。

これは「可能性」の話をしているわけですが、可能性と同時に非常に重要なのは「確率」です。

「飛行機に乗るなんて、万が一落ちたらどうするの?」と言っている人がいたらどう思いますか?

 

米国の国家安全運輸委員会(NTSB)の調査によると、飛行機に乗った時に墜落する確率は0.0009%だそうです。

英航空安全財団の調べによると、2013年までの過去10年間に「全世界」で起きた航空機事故による死者数の年平均は676人。

「日本」の交通事故での死者数は、警察庁の発表では、2017年だけで3,694人。

この数字だけでも、圧倒的に飛行機の方が死亡確率が低いことがわかります。

「飛行機に乗るなんて、万が一落ちたらどうするの?」と言っている人がいたら、その人は普段の生活をどうやって送るのか、ということになってしまいます。

 

たしかに万が一の事態に備えることは必要ですし、保険は自分が抱えきれないリスクに備えるためのものということが大前提です。

安全運転をしていれば交通事故を引き起こす確率は決して高くはないでしょう。

しかし、自分が気をつけているだけで防げないのが交通事故なわけで、万が一自分が加害者になってしまったら数千万円~億単位の損害賠償責任を負うこともあります。

それを代わりに背負ってもらうための自動車保険です。

 

2017年は交通事故の発生件数が472,069件=約50万件として、免許取得者を8,000万人とすると160人に1人が1年間で交通事故を起こすということになります。

1年間で160人に1人が交通事故を起こしますが、10年経過すると単純に16人に1人が加害者になるという計算です。

もちろん、事故は1回起こしたからといって2回目を起こさないという訳ではなく、むしろ運転マナーが悪い同じ人が何回も加害者になるというのは珍しいケースではありませんので、こんなに単純に考えられることではありませんが、車の運転期間が長くなればなるほど、事故の加害者になる確率が増していくのはわかると思います。

 

個人的には発生確率の低いことに必要以上にこだわって備える必要性は低いと思っています。

例えば、20代の人が10年間の定期保険で介護保障を付けるようなことはあまりオススメしていません。

発生確率が非常に低いですし、万が一そういう事態に遭遇するにしても、交通事故の確率が高いと思うので、それなら自動車保険で備えることができるからです。
ただ、間違って欲しくないのは、「必要ない」のではなく、「優先順位が低い」ということです。

発生確率が低いとしても、その備えの必要性を強く感じている場合は優先順位が高くなります。

 

大切なのは、まずは「何に備えたいのか」という「保険の目的」を明確にすること

そして、発生確率と費用対効果を考慮して、商品選択をすることです。

 

保険屋さんは厚い保障を売るのが仕事という側面があります。

だから、可能性の話はしても確率の話はしないケースが多いです。

上記の2つのポイントを押さえて、不要な保障にムダな保険料を払うことのないように注意していきましょう。

必要保障額の参考値(生保編)③長生き

■生命保険で備えるリスク

①死亡

②病気・ケガ

 1)医療費

 2)生活費

 3)介護費

③長生き

 

今回は③長生きについて書いていきます。

ただし、お客様それぞれの状況によって必要保障額は大きく変わりますので、一つの目安として参考にして頂けたらと思います。

なお、必要保障額の算出方法や目安についてはネット上にも様々な情報がありますので、ご自身でもお調べになってみて、考え方にマッチするものを参考にして頂くといいのではないかと思います。

 

長生きのリスクというのは、いわゆる老後リスクということになります。

ご存知の通り、日本人の長寿命化は年々進んでいます。

結果的に、命が尽きる前にお金が尽きるという状況になってきています。

大企業で定年まで働き上げて、数千万円の退職金をもらったという人でさえ、介護などをきっかけとして老後破産に至ったというような暗いニュースは珍しくありません。

明るい老後を迎えるためにも、長生きへの備えをできるだけ早い段階から始めることはとても重要です。

もちろん、生命保険だけで備えるのは効率が悪い側面もありますので、今ならiDeCoやつみたてNISAなども活用するのがいいのではないかと思います。

ただし、投資は効率よく資産形成ができる側面はありますが、万が一への備えは用意ができないので、死亡保障を確保しつつ、将来への資産形成の土台を作るのには生命保険は良い選択肢かなと思います。

また、投資はいつスタートしても手数料などが変わりませんが、生命保険は年齢が上がれば上がるほど、保険料が上がっていきますので、若いときにスタートするメリットもあります。

日本人は投資教育を受けていないからか、長期投資が苦手という側面もあるので、強制的に長期投資につながりやすいのも生命保険が資産形成に向いている側面の一つかなと思います。

この辺りはまた別記事で詳しく書いていこうかなと思います。

まず、今回は老後を迎えるまでに最低これくらいは資産形成をしておく必要があるという目安を書いていこうと思います。

 

総務省が出している「家計調査年報(家計収支編)平成28年(2016年) 家計の概要」によると、高齢夫婦無職世帯の1ヶ月の家計支出は月間約27万円です。

高齢夫婦無職世帯とは、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯のことです。

多少余裕を持たせたとして、月の必要生活資金を30万円としましょう。

老後の収入としては年金がありますが、一般的な会社員の夫と専業主婦の妻の公的年金の受給額はだいたい20万から22万円程度の世帯が多いようですので、ここでは20万円とします。

定年を65歳、死亡時期を平均寿命を考慮して85歳とした場合、

・必要生活資金・・・30万円 × 12ヶ月 × 20年 = 7,200万円

・年金受給額・・・・20万円 × 12ヶ月 × 20年 = 4,800万円

・差引き不足額・・・10万円 × 12ヶ月 × 20年 = 2,400万円

定年までに2,400万円の資産形成をしておかなければ、確実に老後破産ということになります。

ただし、これは現在と同じ金額で厚生年金がもらえる前提となっていますので、今後の制度改正を考慮するとより大きな資産がなければ十分とは言えないでしょう。

さらに、国民年金の方は年金受給額がそもそも少ないので、より真剣に考えておく必要があります。

ちなみに、冒頭にも書いた通り、日本の長寿命化は年々進んでいますので、人生90年時代、100年時代も現実的になってきています。

よって、正直上記の試算では、おそらく不十分だとは思いますが、ここではいったん、65歳までに2,400万円を作ることを目標としてみます。

 

もし30歳の人が65歳までに2,400万円の貯金をしようと思ったら、

2,400万円 ÷ 35年 ÷ 12ヶ月 = 57,143円

毎月約60,000円の貯金が必要になります。

もちろん、スタート時期が遅くなれば、それだけ積立金額が多くなります。

資産形成の坂道の勾配が上がっていく感じですね。

 

しかし、これを保険を活用することで、月々約37,000円の保険料で、死亡保障を確保しつつ、老後資金の不足分月々10万円 × 12ヶ月 × 20年 = 合計2,400万円を確保することができる商品があります。

約1,500万円の保険料支払いでトータル2,400万円が確保できるわけなので、貯金に比べるとかなり資金効率が上がるのではないかと思います。

 

十分な老後資金がいくらなのかということについては、どういう老後を過ごしたいかから考える必要がありますが、最低限の生活を送るためには上記の金額が必要と考えて頂くと良いかと思います。

死亡リスクには備える必要があるものの、決して確率的に高いものではないので、個人的には掛け捨ての死亡保障ではなく、貯蓄性の高い生命保険を活用することをオススメしています。

ただし、重要なのはちゃんと資産形成につながる「貯蓄性の高い」商品であることです。

この時点でかなり商品が絞られますので、ご検討されている方は営業マンの提案を鵜呑みにせずに、大切な資金を有効活用できるよう複数社の商品を比較検討して頂きたいと思います。

必要保障額の参考値(生保編)②病気・ケガ

■生命保険で備えるリスク

①死亡

②病気・ケガ

 1)医療費

 2)生活費

 3)介護費

③長生き

 

前回は①死亡について必要保障額の目安を書いていきました。

今回は②病気・ケガについて書いていきます。

ただし、お客様それぞれの状況によって必要保障額は大きく変わりますので、一つの目安として参考にして頂けたらと思います。

なお、必要保障額の算出方法や目安についてはネット上にも様々な情報がありますので、ご自身でもお調べになってみて、考え方にマッチするものを参考にして頂くといいのではないかと思います。

 

②病気・ケガ

1)医療費

まず医療保険というと医療費を頭に思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

たしかにガン治療などで高額な医療費が掛かるというイメージがあるので、それに備える必要性を覚えている方が多いのは不思議ではありません。

ただ、日本は非常に社会保障制度が充実しているので、まず知っておいて欲しい制度は高額療養費制度です。

ご存じの方も多いと思いますし、使ったことのある方もいらっしゃるかもしれません。

これは医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給するという制度です。

この制度により、一般的なサラリーマン世帯(年収約370~約770万円)なら月間の医療費は概ね10万円以内に収まります。

上限額の計算式は80,100円+(医療費-267,000)×1%です。( 年収によって計算式は変わります。)

注意しなければいけないのは、保険証が適用されない食事代や差額ベッド代、その他雑費は全額自己負担であること、あくまで1ヶ月毎で計算するので、仮に16万円かかったとしても、1ヶ月目8万円、2ヶ月目8万円だった場合、上限の範囲内と判断されることです。

あとは申請をしないと支給されない点も注意が必要です。

最近は事前に加入している健康保険組合協会けんぽ、または市町村(国民健康保険後期高齢者医療制度)などに申請をして、「認定証」などを入手して頂くことで、月ごとの上限額を超える分を窓口で支払う必要がなくなるようになっていますが、これも知らなければ利用できない制度です。

医療保険を検討する前にまずは社会保障制度をしっかり活用して頂きたいと思います。

 

その上で個人的にポイントにしているのは、以下の6点です。

1、医療費全額保障 or 最低限保障

これはお客様のご意向次第ですが、個人的には医療保険は元が取りにくい商品だと思っているので、最低限の医療費の確保+後述の一時金で三大疾病などに対して手厚い保障を確保することをオススメしています。

 

2、一定期間の保障 or 一生涯の保障

これもお客様のご意向次第ですが、医療保険は医療リスクの高まる60歳以降に利用する機会が増えることを考慮すると一生涯の保障が望ましいと思います。

一定期間の保障を上乗せするために定期保険を活用するのはありだと思いますが、定期保険のみだと更新の度に保険料が上がっていくので、老後の保険料が高額になり継続することが困難になるリスクがあると思います。

 

3、三大疾病による保険料払込免除 or 何事もなければ保険料が戻ってくる保険

これは医療リスク、特に三大疾病へのリスクを重く捉えるかどうかでどちらがいいかは変わってきます。

医療リスクを重く捉えるのなら三大疾病になって一定の条件を満たした場合に保険料の払込免除になる方が望ましいと思います。

保険料が戻ってくる保険は終身払いである代わりに60歳や70歳など指定したタイミングでそれまで払った保険料が戻ってくるので、60歳以降の医療リスクに備えつつ払った保険料を老後資金としても活用できる方がいいと思う場合は選択肢に入るかと思います。

後者の方が保険料は高くなる可能性が高いので、実際に設計して比較してみるといいと思います。

個人的には保険料の払込免除をオススメしています。

この辺はまた別記事で詳細書いていきたいと思います。

 

4、長期入院に対応できるか

入院は短期化してきており、60日以内の入院が9割と言われています。

ただし、本当に怖いのはそれを超える長期入院なので、個人的にはせめて三大疾病の入院に関しては入院日数制限無制限にしておくことをオススメしています。

 

5、まとまった一時金を受け取れる内容になっているか

治療内容に左右されず自由に使える一時金が給付されるか否かは経済面に大きく影響すると思います。

最近は入院に対して一時金で保障するタイプの商品も出てきています。

保障範囲が広い方が望ましいのはもちろんですが、その分保険料も嵩みやすくなります。

個人的にはせめて三大疾病に対してはまとまった一時金を設定することをオススメしています。

 

6、三大疾病は広い三大疾病で保障される内容になっているか

ここまで何度か「三大疾病」というワードが出てきましたが、実は三大疾病は書き方によって保障範囲が大きく異なります。

狭い三大疾病・・・ガン、急性心筋梗塞脳卒中

広い三大疾病・・・ガン、心疾患、脳血管疾患

どう違うかというと、心疾患の一部に急性心筋梗塞があり、脳血管疾患の一部に脳卒中があります。

例えば死因から見ると急性心筋梗塞は心疾患の約20%です。

急性心筋梗塞しか保障されない商品では残り約80%の心疾患は保障されませんので、三大疾病の中身は必ず確認が必要です。

 

このあたりを踏まえて検討して頂ければ、そう悪い内容の商品に加入することはないのではいかと思います。

なお、保険料払込免除の条件や三大疾病一時金の給付条件などは各社大きく異なりますので、必ず内容確認をしておくことをオススメします。

保障範囲が広かったとしても、給付条件が厳しかったら保険金受け取れないですからね。

 

2)生活費

最近流行りの保険の一つがこの仕事ができなくなったときの生活費を保障するタイプの商品です。

一般的には就業不能保障と言われたりします。

リスクとしてはカバーしたいものではあるものの、個人的にはあまりオススメをしていはいません。

理由は2点で、給付条件が厳しいことと保険料が安くはないことです。

比較的条件が緩い商品でも「60日以上の労働制限」が条件となっています。

たしかにその状況に陥ったら非常に助かる保障ですが、その状況に陥る確率を考慮すると保険金を受け取りにくい商品かなと思っています。

もし三大疾病に限った話をするのなら3大疾病の一時金を厚くすることでカバー、自動車事故に関しては自動車保険でカバーする方が資金効率としてはいいかなと思っています。

 

3)介護費

介護のリスクに対しても備えたいと考えている方は非常に多いと思います。

介護は65歳以上の方には約18%、75歳以上の方には約33%の確率で起こりうるリスクだと言われています。

ただし、65歳以上の方には公的介護保険制度から一定の保障が受けられます。

それまでに十分な資産形成をすることができれば、敢えて掛け捨ての医療保険で介護保障を確保する必要はないでしょう。

65歳未満の介護状態に対しては公的介護保険制度からの保障がほぼ受けられないので、ここは備えておく必要性があります。

ただし、民間保険で保障されるのは概ね要介護2以上の状態になったときです。

要介護2とは以下のような状態です。

  • みだしなみや掃除など身の回りの世話の全般に助けが必要。立ち上がりや歩行、移動になんらかの支えが必要。 
  • 排泄や食事に見守りや手助けが必要なときがある。問題行動や理解の低下がみられることがある、など。
  • 日常生活のなかの動作に、部分的に介護が必要。

65歳までにこの状況に陥るリスクで真っ先に思い浮かぶのは自動車事故です。

逆に言うとそれ以外の理由でここまでの状況に陥る確率が低いと判断できるのであれば、自動車事故は自動車保険でカバーするというのも一つの考え方です。

自動車保険の人身傷害保険に車外危険補償特約を付けることで、契約車両に乗車中の事故だけでなく、知人の自動車に同乗中の事故、歩行中の事故も補償対象になります。

つまり、自動車事故についてはほとんどカバーできるということです。

これについてもまた別記事で詳しく触れていこうと思います。

 

保障はないよりはあった方がいいものですが、保障を厚くすればするほど保険料も嵩みます。

そして、そもそも保険金が給付される状況に陥る確率はそうならない確率よりも低いので、具体的にどのシチュエーションを保障したいかを明確にして、商品選択することが非常に重要です。

保険で備えなくても抱えられる経済的リスクは貯蓄などで対応するものとして、費用対効果の高い保障にはお金を使いつつ、次回書いていく③長生きのリスクに備えていくのが資金効率のいいお金の使い方かなと思います。

 

記事を書きながら、もう少し各項目を深掘りしていきたいなと感じましたので、おいおい別記事にしていこうと思います。

必要保障額の参考値(生保編)①死亡

前回は生命保険で備えるリスクを以下のようにまとめました。

①死亡

②病気・ケガ

 1)医療費

 2)生活費

 3)介護費

③長生き

 

今回はそれぞれについてどれくらいの保障額を確保すればいいのかについて書いていきます。

ただし、お客様それぞれの状況によって必要保障額は大きく変わりますので、一つの目安として参考にして頂けたらと思います。

なお、必要保障額の算出方法や目安についてはネット上にも様々な情報がありますので、ご自身でもお調べになってみて、考え方にマッチするものを参考にして頂くといいのではないかと思います。

 

①死亡

死亡保障の基本的な考え方は「誰にいくら残したいのか」というものです。

逆に言ってしまえば、もし自分に万が一のことがあったとしても、ご家族にお金を残す必要のない方や誰にも迷惑をかけることなく死後整理まで済ますことができる貯蓄がある方は、死亡保障の必要性は低いということになります。

一般的な目安としては以下をご参考にして頂けたらと思います。

 

1)死後整理資金(葬祭費・お墓代など)

どの程度のお葬式をするか、すでにお墓があるか、住んでいた家の撤去費は必要かなど、状況によって大きく必要金額は変わりますが、葬儀費用の全国平均は(財)日本消費者協会「第11回『葬儀についてのアンケート調査』」(2017年)によれば195.7万円、墓石代の全国平均は(財)全国優良石材店の会「2016年版お墓購入者アンケート調査」によれば170.4万円となっています。

地域差もありますが、葬儀費用と墓石代を合計すると約366.1万円になります。

個人的にはその他の費用も考慮して、独身で特にお金を残す必要のない方でも余裕を持って300~500万円くらいの金額を基準にしてお話しています。

 

2)残された家族の生活費

加入している年金が国民年金か厚生年金(共済年金)か、お子様が何人いるかによって、必要金額は大きく異なります。

一家の大黒柱(以下、ご主人様とします)に万が一のことがあると、今後の生活に大きな影響が出ます。

一般的には必要な生活費は以下のように求められます。

 

■子供が独立するまで

現在の月間生活費 × 70% ×(末子の独立年齢-末子の現在の年齢)=末子独立までの月間必要生活資金


■子供が独立した後

現在の月間生活費 × 50% × 末子独立時の奥様の平均余命 =末子独立後の月間必要生活資金

 

ざっくりしたイメージだと、今の家族構成・生活環境で月々いくら必要かというところを思い浮かべて頂くといいかと思います。

 

では、ご主人様に万が一のことがあった場合、どのような保障が受けられる可能性があるのでしょうか。

■公的保障・・・遺族基礎年金、遺族厚生年金

■企業からの保障・・・死亡退職金、弔慰金など

遺族年金の詳細についてはまた別の機会に書いていこうと思いますが、子供が独立するまでの必要生活資金の一例としては以下のようなイメージになります。

現在の月間生活費【35万円】 × 70% ×(末子の独立年齢【22歳】-末子の現在の年齢【2歳】)= 5,880万円(月々24.5万円 × 20年)

仮に遺族年金で10万円支給されるとしたら、不足分の月々14.5万円を保険で確保できれば、今と大きく変わらない生活が送れるということになります。

もちろん、奥様がお仕事をするのも選択肢の一つですので、そういったことも考慮して保険金額を検討するのがいいと思います。

ちなみに加入している年金が国民年金の場合、遺族年金の支給金額は少なくなるので、注意が必要です。

 

3)教育資金

私立か公立かによっても大きく必要資金は異なりますが、現実的なモデルケースとして幼稚園~高校まで公立、大学は私立の文系に進学した場合の教育資金を参考にしてみようと思います。

 

・幼稚園から高等学校卒業までの15年間の学習費総額(全て公立):5,400,716円

 ※『平成28年度子供の学習費調査』より

・私立大学文系学部 授業料、入学料及び施設設備費の状況:4,603,452円

 ※『平成28年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果』より

 

合計すると約1,000万円の資金が必要ということになります。

もちろん、幼稚園~高校で私立に進学したり、理系の大学に進学したり、仕送りなどをしたりするともっと必要になります。

まずはお子様一人に対して1,000万円というのを目安にして頂くといいのではないかと思います。

 

 

 

死亡保障は「誰にいくら残したいのか?」ということから考えて頂くイメージ掴めましたでしょうか?

ただ、個人的には死亡保障を厚く取り過ぎると資金効率が落ちると思っています。

理由は60歳までの死亡確率は10%程度だからです。

20歳まで元気に過ごしてきた人が自殺以外で60歳までにお亡くなりになる確率は更に下がって、数%でしょう。

保険屋さんは基本的に可能性の話を中心でします。

「こうなったら怖いよね・・・」というトークですね。

ただし、その状況に遭遇する確率が低いのであれば、果たしてそれは怖いのでしょうか?

この辺の確率の話もおいおい記事にしていこうと思います。

 

今回は長くなってしまったので、②病気・ケガ、③長生きについてはまた次回書いていきます。

何のために保険に入るのか(生保編)

保険に限らず、何をするにしても「目的」を明確にすることは非常に重要です。

保険はあくまで「ツール」であって、「目的」ではないということは忘れてはいけないポイントです。

お客様とお話しているとこの部分を混同してしまっている方が多いなと感じることが多いです。

いわゆる「保険に入りたい」お客様ですね。

保険に入ることが目的になっているので、内容よりも保険料が安いことを重視する傾向が強いです。

保険料が安いことが悪いことだとは思っていませんが、自分がイメージしている状況のときにちゃんと保険金が下りるのかは確認しておかなければ、保険の意味がありません。

 

そもそも保険とは何のために入るものなのでしょうか?

個人的には保険とは「リスク」に備えるためのものだと考えています。

よく聞くのは「安心を買うもの」というようなフレーズですが、保険に入っているという安心感があっても、いざというときに十分な保険金が下りないのでは意味がありません。

自分が備えたい「リスク」を明確にして、そのリスクをカバーするためにどういうツールをチョイスするのかという考え方が大切かなと思います。

 

生命保険に関しては大きく分けると以下のようなリスクに備えるものと整理できるかと思います。

①死亡

②病気・ケガ

 1)医療費

 2)生活費

 3)介護費

③長生き

 

まずは上記のどの部分に対しての備えをしたいかを明確にして、そのリスクに対して経済的にどれくらいの備えをしたらいいのかを考えていくと、必要保障額が見えてくるかと思います。
次回は必要保障額の参考値について書いていこうと思います。

良い保険に加入するために考えるべきこと

保険屋をやっていると言うとよく聞かれるのが、「良い保険あったら教えてよ!」ということです。

ここで大切になるのは、「あなたの言う良い保険とはどういうものか?」ということが話せるかということです。

物事の良し悪しは主観的な側面が強いので、人によって変わってしまうのです。

私はいいと思っても、それが必ずしもあなたに当てはまるとは限らないということです。

 

では、物事の良し悪しを判断するために大切なこととはなんでしょうか?

私は「基準」と「比較」が重要だと思います。

つまり、何をもって良いとするのかを明確にして、その基準を満たすものが複数あるのなら、比較をすることで優位性が見えてくると考えています。

 

例えば、死亡保障を確保しつつ、将来への資産形成もしたいという場合、死亡保障を厚く取りたいのか、資産形成への目的を強く持つのかで良い商品は変わります。

前者の場合は希望の保障額が安い保険料で確保できる商品が良い商品となりますが、後者の場合は同じ保険料で解約返戻率の高い商品が良い商品となります。

 

このように、物事の良し悪しは基準によって大きく左右されるということをしっかり理解しておきましょう。

そして、何のためにその保険に加入するのかという「目的」を明確にして保険への加入を検討しましょう。

あなたの目的が基準となります。

それが明確になっているだけで、ダメ保険=意向に合致しない保険を掴まされるリスクは大きく下がります。

 

そして、必ず複数社の同様の商品で比較をしましょう。

1社専属の営業マンは当然のことながら、他社の案内は積極的にしてくれません。

しかし、ある保険会社の商品がすべて優れているということは基本的にありません。

お客様にとって良い商品=保険会社にとっては利益の薄い商品になるわけですから、すべてが良い商品だったら保険会社の経営に支障をきたします。

しかし、お客様への提案の切り口になる良い商品を持っていないとなかなか勝負ができないわけですから、そういう商品だけをピックアップして申込みするのが、個人的には賢い加入の仕方かなと思っています。

 

まずは、保険に加入する前に「何のために保険に入るのか」という目的を明確にしてから検討してみて下さい。

次回はそれを考える手助けになるように、「何のために保険に入るのか」をもう少し具体的に考えていこうと思います。