必要保障額の参考値(生保編)③長生き
■生命保険で備えるリスク
①死亡
②病気・ケガ
1)医療費
2)生活費
3)介護費
③長生き
今回は③長生きについて書いていきます。
ただし、お客様それぞれの状況によって必要保障額は大きく変わりますので、一つの目安として参考にして頂けたらと思います。
なお、必要保障額の算出方法や目安についてはネット上にも様々な情報がありますので、ご自身でもお調べになってみて、考え方にマッチするものを参考にして頂くといいのではないかと思います。
長生きのリスクというのは、いわゆる老後リスクということになります。
ご存知の通り、日本人の長寿命化は年々進んでいます。
結果的に、命が尽きる前にお金が尽きるという状況になってきています。
大企業で定年まで働き上げて、数千万円の退職金をもらったという人でさえ、介護などをきっかけとして老後破産に至ったというような暗いニュースは珍しくありません。
明るい老後を迎えるためにも、長生きへの備えをできるだけ早い段階から始めることはとても重要です。
もちろん、生命保険だけで備えるのは効率が悪い側面もありますので、今ならiDeCoやつみたてNISAなども活用するのがいいのではないかと思います。
ただし、投資は効率よく資産形成ができる側面はありますが、万が一への備えは用意ができないので、死亡保障を確保しつつ、将来への資産形成の土台を作るのには生命保険は良い選択肢かなと思います。
また、投資はいつスタートしても手数料などが変わりませんが、生命保険は年齢が上がれば上がるほど、保険料が上がっていきますので、若いときにスタートするメリットもあります。
日本人は投資教育を受けていないからか、長期投資が苦手という側面もあるので、強制的に長期投資につながりやすいのも生命保険が資産形成に向いている側面の一つかなと思います。
この辺りはまた別記事で詳しく書いていこうかなと思います。
まず、今回は老後を迎えるまでに最低これくらいは資産形成をしておく必要があるという目安を書いていこうと思います。
総務省が出している「家計調査年報(家計収支編)平成28年(2016年) 家計の概要」によると、高齢夫婦無職世帯の1ヶ月の家計支出は月間約27万円です。
高齢夫婦無職世帯とは、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯のことです。
多少余裕を持たせたとして、月の必要生活資金を30万円としましょう。
老後の収入としては年金がありますが、一般的な会社員の夫と専業主婦の妻の公的年金の受給額はだいたい20万から22万円程度の世帯が多いようですので、ここでは20万円とします。
定年を65歳、死亡時期を平均寿命を考慮して85歳とした場合、
・必要生活資金・・・30万円 × 12ヶ月 × 20年 = 7,200万円
・年金受給額・・・・20万円 × 12ヶ月 × 20年 = 4,800万円
・差引き不足額・・・10万円 × 12ヶ月 × 20年 = 2,400万円
定年までに2,400万円の資産形成をしておかなければ、確実に老後破産ということになります。
ただし、これは現在と同じ金額で厚生年金がもらえる前提となっていますので、今後の制度改正を考慮するとより大きな資産がなければ十分とは言えないでしょう。
さらに、国民年金の方は年金受給額がそもそも少ないので、より真剣に考えておく必要があります。
ちなみに、冒頭にも書いた通り、日本の長寿命化は年々進んでいますので、人生90年時代、100年時代も現実的になってきています。
よって、正直上記の試算では、おそらく不十分だとは思いますが、ここではいったん、65歳までに2,400万円を作ることを目標としてみます。
もし30歳の人が65歳までに2,400万円の貯金をしようと思ったら、
2,400万円 ÷ 35年 ÷ 12ヶ月 = 57,143円
毎月約60,000円の貯金が必要になります。
もちろん、スタート時期が遅くなれば、それだけ積立金額が多くなります。
資産形成の坂道の勾配が上がっていく感じですね。
しかし、これを保険を活用することで、月々約37,000円の保険料で、死亡保障を確保しつつ、老後資金の不足分月々10万円 × 12ヶ月 × 20年 = 合計2,400万円を確保することができる商品があります。
約1,500万円の保険料支払いでトータル2,400万円が確保できるわけなので、貯金に比べるとかなり資金効率が上がるのではないかと思います。
十分な老後資金がいくらなのかということについては、どういう老後を過ごしたいかから考える必要がありますが、最低限の生活を送るためには上記の金額が必要と考えて頂くと良いかと思います。
死亡リスクには備える必要があるものの、決して確率的に高いものではないので、個人的には掛け捨ての死亡保障ではなく、貯蓄性の高い生命保険を活用することをオススメしています。
ただし、重要なのはちゃんと資産形成につながる「貯蓄性の高い」商品であることです。
この時点でかなり商品が絞られますので、ご検討されている方は営業マンの提案を鵜呑みにせずに、大切な資金を有効活用できるよう複数社の商品を比較検討して頂きたいと思います。