現役 保険営業マンの保険備忘録

保険の選び方や保険業界の裏側など、保険業界に関わって学んだことを備忘録的に書いています。

気をつけなければいけない営業マンの「Yes取り」トーク

営業の仕事をしたことがある方はわかると思いますが、営業の基本テクニックに「Yes取り」というものがあります。

これはお客様から「Yse」と言って頂ける質問を重ねることで、心理的ハードルを下げるという営業の古典的テクニックですが、当然そこにはお客様から「Yes」を引き出すためのトークというものがあります。

 

この「Yes」が取れるトークをうまく活用すると、営業マンが売りたい商品に対して「Yes」と答えてもらえる質問も作れます。

様々なパターンがありますが、今回は私がまだ保険の営業マンになる前に、お客として営業をかけられたときのことを例として取り上げていきます。

 

当時の私は30代前半で、たまたま職場の元先輩が退職後某保険会社の営業マンになって、営業をかけに来たという状況でした。

年齢的にも保険を意識し始めていたのですが、当時は医療保険しか検討していなかったので、医療保険の契約を意識して話を聞いていました。

もちろん当時の私はどういう商品を選べば良いのかの基準もなく、その元先輩営業マンは保険代理店ではなく保険会社の営業マンだったので、当然複数社の商品の比較をすることもありませんでした。

結局、契約したのは入院・手術の保障にガンや生活習慣病の入院保障特約やガン一時金特約などを付加した商品でした。

保障内容は決して悪くはなかったと思いますが、保険料が高く、30歳前半で終身保障・65歳払込で月払約10,000円でした。

今ならこんな高い医療保険に入ることはないのですが、当時は比較対象もなかったことからそれが高いかどうかすらわからなかったという感じです。

そして、なぜこの商品がそんなに高かったのか、その大きな要因は「解約返戻金」がある商品だったからです。

 

解約返戻金というのは、その契約を「解約したとき」に保険契約者に対して払い戻されるお金のことです。

個人的には医療保険については「掛け捨てで安く」が資金効率が良いと考えていますが、当時の私はそんな知識もなく、こんな「Yesが取れるトーク」にやられてしまったわけです。

 

「◯◯さん、この商品は65歳で払込が満了すると解約返戻金が立ち上がる商品なんですよ。年を重ねていって、もしもう保障は必要ないかなと思うことがあったときに『お金に変えられる保険と変えられない保険』だったらどっちがいいですか?」

 

ズルい質問の仕方ですよね。

これ、ほとんどの方が「お金に変えられる保険の方がいい」という返答になるんですよ。

だって、選択肢がないよりはあった方がいいわけですから。

ただし、それによってどれくらい保険料が上がるのかなどのデメリットについては話さないんですね。

 

実際、当時の私は「お金に変えられる選択肢があった方がいいんじゃないのか」と考えてこの商品を契約したわけですが、冷静になって考えてみると、そもそも「解約返戻金」というのは「解約しないと手に入らない」ものなわけですよね。

医療リスクが高まるのは60歳以降なわけで、正直医療保険のお世話になる可能性が増す時期にそもそも解約するのか?ということなんですよね。

もし解約しなければ、ただ高い保険料を払っただけですよね。

こういうデメリットの側面はあまり教えてくれないんですね。

なぜなら、保険料が高くなる=営業マンの手数料収入が増えるという仕組みなわけなので、お客様から突っ込まれない限り、敢えてデメリットを強調する必要はないわけです。

 

こういう一見するとよく見える商品というのは非常に多いです。

わかりやすいものだと、「5年ごとに健康祝金がもらえます!」というものですね。

こういうパターンの商品は結局健康祝金がない商品より保険料が高くなるので、結果的に自分が余計に払った保険料が5年ごとに返ってきているという仕組みになっているケースがほとんどです。(もちろん多少はプラスになるように設計されていると思いますが・・・)

 

こういう商品のカラクリを見抜くのに非常に役に立つのが「電卓」です。

掛けるお金に対して得られるお金がいくらなのかがわかれば、それが本当にお得なのか見抜くことができます。

数字は嘘をつきませんからね。

おいおい電卓の叩き方も記事にしていこうと思います。