現役 保険営業マンの保険備忘録

保険の選び方や保険業界の裏側など、保険業界に関わって学んだことを備忘録的に書いています。

必要保障額の参考値(生保編)①死亡

前回は生命保険で備えるリスクを以下のようにまとめました。

①死亡

②病気・ケガ

 1)医療費

 2)生活費

 3)介護費

③長生き

 

今回はそれぞれについてどれくらいの保障額を確保すればいいのかについて書いていきます。

ただし、お客様それぞれの状況によって必要保障額は大きく変わりますので、一つの目安として参考にして頂けたらと思います。

なお、必要保障額の算出方法や目安についてはネット上にも様々な情報がありますので、ご自身でもお調べになってみて、考え方にマッチするものを参考にして頂くといいのではないかと思います。

 

①死亡

死亡保障の基本的な考え方は「誰にいくら残したいのか」というものです。

逆に言ってしまえば、もし自分に万が一のことがあったとしても、ご家族にお金を残す必要のない方や誰にも迷惑をかけることなく死後整理まで済ますことができる貯蓄がある方は、死亡保障の必要性は低いということになります。

一般的な目安としては以下をご参考にして頂けたらと思います。

 

1)死後整理資金(葬祭費・お墓代など)

どの程度のお葬式をするか、すでにお墓があるか、住んでいた家の撤去費は必要かなど、状況によって大きく必要金額は変わりますが、葬儀費用の全国平均は(財)日本消費者協会「第11回『葬儀についてのアンケート調査』」(2017年)によれば195.7万円、墓石代の全国平均は(財)全国優良石材店の会「2016年版お墓購入者アンケート調査」によれば170.4万円となっています。

地域差もありますが、葬儀費用と墓石代を合計すると約366.1万円になります。

個人的にはその他の費用も考慮して、独身で特にお金を残す必要のない方でも余裕を持って300~500万円くらいの金額を基準にしてお話しています。

 

2)残された家族の生活費

加入している年金が国民年金か厚生年金(共済年金)か、お子様が何人いるかによって、必要金額は大きく異なります。

一家の大黒柱(以下、ご主人様とします)に万が一のことがあると、今後の生活に大きな影響が出ます。

一般的には必要な生活費は以下のように求められます。

 

■子供が独立するまで

現在の月間生活費 × 70% ×(末子の独立年齢-末子の現在の年齢)=末子独立までの月間必要生活資金


■子供が独立した後

現在の月間生活費 × 50% × 末子独立時の奥様の平均余命 =末子独立後の月間必要生活資金

 

ざっくりしたイメージだと、今の家族構成・生活環境で月々いくら必要かというところを思い浮かべて頂くといいかと思います。

 

では、ご主人様に万が一のことがあった場合、どのような保障が受けられる可能性があるのでしょうか。

■公的保障・・・遺族基礎年金、遺族厚生年金

■企業からの保障・・・死亡退職金、弔慰金など

遺族年金の詳細についてはまた別の機会に書いていこうと思いますが、子供が独立するまでの必要生活資金の一例としては以下のようなイメージになります。

現在の月間生活費【35万円】 × 70% ×(末子の独立年齢【22歳】-末子の現在の年齢【2歳】)= 5,880万円(月々24.5万円 × 20年)

仮に遺族年金で10万円支給されるとしたら、不足分の月々14.5万円を保険で確保できれば、今と大きく変わらない生活が送れるということになります。

もちろん、奥様がお仕事をするのも選択肢の一つですので、そういったことも考慮して保険金額を検討するのがいいと思います。

ちなみに加入している年金が国民年金の場合、遺族年金の支給金額は少なくなるので、注意が必要です。

 

3)教育資金

私立か公立かによっても大きく必要資金は異なりますが、現実的なモデルケースとして幼稚園~高校まで公立、大学は私立の文系に進学した場合の教育資金を参考にしてみようと思います。

 

・幼稚園から高等学校卒業までの15年間の学習費総額(全て公立):5,400,716円

 ※『平成28年度子供の学習費調査』より

・私立大学文系学部 授業料、入学料及び施設設備費の状況:4,603,452円

 ※『平成28年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果』より

 

合計すると約1,000万円の資金が必要ということになります。

もちろん、幼稚園~高校で私立に進学したり、理系の大学に進学したり、仕送りなどをしたりするともっと必要になります。

まずはお子様一人に対して1,000万円というのを目安にして頂くといいのではないかと思います。

 

 

 

死亡保障は「誰にいくら残したいのか?」ということから考えて頂くイメージ掴めましたでしょうか?

ただ、個人的には死亡保障を厚く取り過ぎると資金効率が落ちると思っています。

理由は60歳までの死亡確率は10%程度だからです。

20歳まで元気に過ごしてきた人が自殺以外で60歳までにお亡くなりになる確率は更に下がって、数%でしょう。

保険屋さんは基本的に可能性の話を中心でします。

「こうなったら怖いよね・・・」というトークですね。

ただし、その状況に遭遇する確率が低いのであれば、果たしてそれは怖いのでしょうか?

この辺の確率の話もおいおい記事にしていこうと思います。

 

今回は長くなってしまったので、②病気・ケガ、③長生きについてはまた次回書いていきます。